2020.7.21
下川まさのりさん(左) と 鶴岡章吾さん(右)
ありたい姿を大切にしていく
今回のゲストは、グラフィックデザイナーの下川まさのりさんと鶴岡章吾さんの二人。
二人とは仕事で深い根源的な次元でのやり取りをすることが多く、いつもの司会の前田さんが不在の中で「進行と深める」という全然違うベクトルのことをやんないといけなかったけど、「まぁ二人なら大丈夫かな」.....
スマホで時間管理しようと思ったら、収録開始すぐにスマホがブラックアウト(スリープモード)になってしまった。
こういうときにもう焦らない、「あとで編集すればいいじゃん!」(岩倉さんごめんなさい)と開き直って収録がスタートした。
今回のお題は、
『2人の言葉で「菅原知之」「医療法人CLSすがはら」を説明してもらう』
ということだ。
なんとズルい!自分で説明しろよ!と思ったが、結果コンセプトは成功だったと思う。
例えばだが、目の前に一人の女性が居たとする。同じ人を見ていても表現の仕方というのは全然違う。
髪の毛は長くて茶色で~、洋服は赤色のストライプで~云々といった人もいれば、その人はとても気が強そうな人で目力が強い人で~と説明する人もいる。聴き手にとってどっちが分かりやすいか、というのも人それぞれだろう。
また、説明する人が違うと、これまでとは違った側面、さっきの例だと「その人は気が強そうである」みたいなことはこれまで言語化されていなかったりする。
たいせつなことは、いろんな説明の仕方が重なることで、「その目の前の女性の輪郭がクッキリと描かれる」ということにある。
二人から見た私たちがどう映っているのかについては本編を見ていただけたらと思うが、印象に残っている言葉は「この法人は街とか村みたい」ということ。
それと「誰かと話したりすることで自分に気づいたりすることがある」ということ。
うちの法人が「良い意味」であやふやであるからこそ、目的的過ぎないことがいろんな人それぞれのありたい姿を大切にしていくことができれば、それは「目的が明確化された会社や組織」とは異なる、もう少し緩やかな村的なコミュニティになるのかもしれない。
それはこれまでの組織とは一線を画すようなものになる可能性があるということかもしれない。
また、あやふやであるからこそ、わかりにくさがあるということにもつながる。
「これをやるために法人はあるんだ!」ということがないわけじゃないが、そこがふんわりしていることがあるのだろう。
自分に気づく、という話については「OMUTA BRIDGE」の話のときにも同じことが言われていた。
対話の持つ可能性をいろんな人が感じている。それが単に「言語化」されていなかったり、その「意味」がまだ十分に明確化されていないことが背景にあるのかもしれない。
プラットホームの機能を果たす居場所
新しいプロジェクトについては時間がなく、十分な説明が足りなかったので、ここで少し補足したいと思う。
以下プロジェクトの計画の冒頭の文章である。
《 本計画は、CLSすがはらを市民のプラットホームと化し、医療、介護、福祉のほか内外の様々なサービスへと連携を図ることで、地域のみならず法人内部へ向けても、自身の存在意義の確立および認知を進めることに本意があります。 よって、単に狭義のプラットホームビジネスに止まらない、地域エリアへの広がりを持つプラットホームでなくてはなりません。》
プラットホームの機能を果たす居場所とは何か。
居場所とは物理的な「居場所」を指すだけでは足りません。今日、高齢者の移動の問題や、周りから自分自身を承認してもらうこと、情報が伝わるだけでなくたどり着くまでの伴走支援の問題等、居場所とは物理的空間に止まらない「ネットワーク」という機能を広く指し示します。
その理解を前提としたうえで、新たな施設建築・運営計画は、その入口(ポータル)としての意味を持ち、誰もが出入り自由であり、様々な人が行き交い、集まり、楽しめる場所にする必要があります。
その為には、内部環境の改善としての機能なのかも知れません。
日当たりの良い自由な空間があり、カフェが併設され、小さな本棚があり、勉強を教えてくれる人がいて、外では体操をしている人たちがいる。そんな、運営母体は医療法人かも知れないけれど、地域の人(職員も含め)がコーヒーを飲みに、友だちと話しに、時間を過ごしにやって来る場所でなくてはなりません。
効率や機能的な積極性を孕ませるように就労支援などの法人機能や地域サービスを同計画に内包させるのも良いです。
人の役に立ちたいリタイアした地域住民が日替わりで働いていても良い。
市民が積極的に参加したくなるような運営方法で、地域住民の憩いのオアシスになれるような、そしてそこから地域の話が見えて来るような、そんな空間です。
新しいプロジェクトは始まっている
私の中のいくつか断片的な想い、現在の抱えている課題を書くと
私だけじゃなくスタッフもそうですが「菅原病院の菅原です!」みたいな自己紹介をしてしまうことがよくある。菅原病院は50年以上の歴史もあり、ブランドが確立されていることもあるし、起点となった事業でもある。なのでそれが相手にとっても伝わりやすい。しかし、今後の法人を伝えていくためには、「菅原病院~」ということから脱していかなくてはならない。新しい「〇〇の菅原です」となればいいなぁ。
理事長(院長)の大事にしている「病気はあっても病人にはしない」という考え方。どんな人でもまず人間として受け止めることが、理事長の大切にしている価値観。「うちではできないですよ~」、ではなく自分たちにまず「何ができるのか」、そしてできないとしても、「どこか適切なところにつなげる」ことこそが原点であるということ。収録の中でも触れた思い出話に、そんな想いを形にできたら、法人がより成長できるだろうにと思う。
「点と点が線にならない」という悩みがずっと続いていた。それは当然の話で、「点という医療や介護、福祉や児童の事業サービスを受けに」に来ている人たちは明確な目的を持っていて、ある一つの「点(サービス)」を受けるだけ。それ以外の「点」に対して関わるモチベーションもなければ、理由もない。でも、本当はそんなことはないんじゃないかと思っている。当然だが私たちは誰しも別に病気のことだけ悩んでいるわけでもなく、仕事や家庭のこと、自分の趣味のこと、自然災害のこと、いろいろ悩んでいる。ただ、病院に行って「自然災害に対する不安」を語る人なんかいないというだけ。でも、誰かにそういうことを話したいって思う人はいると思うし、普通そういうものだろうと思う。こうした「語られない言葉」を紡ぐためには、一旦「点という目的から離れた(居)場所」が必要なんだろう。
こうした想いがあって、新しいプロジェクトは始まっている。
どんな人でも来てくれていいよ、目的なんかなくったっていい、自由に一人でもいい、話したっていい、もし何か気になったり、相談してみたくなったりしたらいつでも私たちが近くにいるから。
そんなことを実現できるといいなと思う。
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